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古月のおと

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街に溶ける古墳 3  八尋 幸ノ浦

街に溶ける古墳 3
八尋 幸ノ浦




ここは、福岡県鞍手郡鞍手町八尋。

上方(北)に見える丸い丘は「旭1号墳」。
その下に、削られてしまった前方後円墳でしょうかというような独特の地形が見えます。

この辺りに「幸ノ浦1号墳」と「幸ノ浦2号墳」があったそう。

鞍手町には、大塚古墳や銀冠塚古墳のように、大首長の墳墓と思われる大古墳群がいくつもある。ここもそうだったのだろうか。


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# by furutsuki_oto | 2016-02-16 23:55 | 古墳

月守の暦(前編)

月守の暦(前編)

「月守」は、天にかかる月から日と時刻を知る術をもっていた。
ただし、月の位置が直接時計の針になるわけではない。

季節によって多少差はあるが、月は毎日、約50分ずつ遅く出る。季節による増減がこれに加わる。季節による増減は、黄道が赤道に対して23.4°傾き、更に白道が黄道に対して5°傾いているからである。

時計の針にする星が赤道から離れるほどに、星の高さ(角度)への季節の影響が大きくなり、星や月の位置から正確な時刻を読み取るのは困難になる。

月の位置を時計の針にするには、補正が必要なのだ。おそらく、「月守」は、月の位置から時刻を読み取るための換算表をつくったのだろう。彼らが使った観測装置からどこまで彼らの暦にせまれるだろうか。


さて、「月守」の精密な換算表を考える前の準備として、江戸時代に使われた日単位の簡単な換算表についてまず学ぶ。


日単位の簡単な換算表は六曜と呼ばれる。

六曜とは、七曜との混乱を避けるために明治期につくられた用語だが、七曜と区別するうえで便利なので、ここではその名を採用することにする。

現在の太陽暦の時代においては、六曜は、月の日にちとの関係が一見して良くわからず、規則的でありそうな、そうでもなさそうな不思議なものとして一種のゲン担ぎの占いのようになってしまっているが、本来は、月の位置を時計とするための補正表だったのだ。

月は日々約30分の1日ずつ南中が遅れる。
簡単のために、この遅れ時間を時刻の単位とする時計で考える。
つまり一日を30の刻(とき)に分ける時計を考える。

天の黄道と白道は5°ずれているだけなので、これから展開する議論においては、その差は無視しておいてよい。

一日を30の刻(とき)に分ける時計なので、赤道を30分割した30の宿(しゅく)を考える。月が日周運動で、この宿のひとつ分を周る時間が刻(とき)の一単位である。また、月は毎日この宿をひとつずつ東へ巡っていく。

月の位置を時計の針とすると、この時計の針は、計りたい時刻に対して、毎日刻(とき)の一単位分遅れる時計である。更には白道と赤道の傾きからくる季節差も重なってくる。

月の位置から時刻を知る補正表をこの宿を用いてつくることができる。それが六曜だ。

江戸時代に使われ、現在も残っている六曜は、先勝・友引・先負・仏滅・大安・赤口の六種の曜である。太陰暦の場合、毎月1日の六曜は、月を表す数字を6で割った余りで決定される。(閏月は前の月と同じになる。)

また日が進むにつれて六曜もひとつずつ進む。月日により六曜が決まることになる。

結局、六曜の定義としては、太陰暦の月の数字と日の数字の和を6で割った余りで決定することになる。


おもしろいことに、年間の催事の六曜と月の形が固定する。

例えば次のような具合である。
元旦   1月 1日 (太陰暦):1+1=2, 2÷6=0余り2→先勝, 朔
七夕   7月 7日 (太陰暦):7+7=14, 14÷6=2余り2→先勝, 上弦
七五三 11月15日 (太陰暦):11+15=26, 26÷6=4余り2→先勝, 満月

月の形で日にちを確定させると、こんなメリットがあるのだ。

一日を30の刻に分割するとすると、
月の位置を時計の針とするための補正表は次のようになる。

       一週 二週 三週 四週 五週
第1日 先勝 +0 +6 +11 +17 +23
第2日 友引 +1 +7 +12 +18 +24
第3日 先負 +2 +8 +13 +19 +25
第4日 仏滅 +3 +9 +14 +20 +26
第5日 大安 +4 +10 +15 +21 +27
第6日 赤口 +5 +11 +16 +22 +28

六曜なので各週はもちろん六日間である。
七日めは翌週だ。五週(つまり30日)で1日分の遅れを取り戻す。

ここで、第一週は、必ず新月から始まる。
誤差を累積させないために、毎月ついたちで六曜は振り直す。
(そこが周期性が乱れる部分にみえる)

これはなかなかよくできている。六曜で針の読み方を変えるのだ。つまり、月の位置を読んで、六曜の補正を加えると、現在時刻が出てくるのである。

ここまでの方法に五芒星は要らない。
六曜の補正表は、一日単位の補正を可能にしている。
六曜は、一日を30の刻に分割した際に有用である。
江戸時代の使い方はちょっとおかしい。


さて、いよいよ本題の「月守の暦」をひもとく準備ができた。
五芒星のドラゴンカーブを利用する「月守」たちは、もっとうまいことやっていた。先の六曜の補正表は、一日単位のものだったが、もっと進んだより精密な補正表を使っていたに違いない。先の六曜の補正表は、一日単位のものだったが、もっと進んだより精密な補正表を使っていたのだ。彼らは、時間分解能3分間で観測された「星読」の成果のうえに乗ることができた。

だいぶ、長くなったので今日はこの辺で一区切り。続きは次回に。


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# by furutsuki_oto | 2016-02-15 00:12 | 大地に刻まれた時計

和邇ケ崎

和邇ケ崎


暦の話や五芒星の地図はマトめるのに なかなか時間がかかるので、適当にほかのお話も混ぜていくことにします。


写真は、鞍手町古門 和邇ケ崎 です。こんもりとした小さな丘です。
和邇ケ崎は小字です。最近の地図には載っていませんが、古い地図には載っています。

和邇ケ崎_a0351692_00450793.png

丘の上には15cmくらいの石を丸く敷き詰めた場所と、もうひとつ形が崩れているがやはり石を敷き詰めたものがありました。また、50cmくらいの珪化木もゴロゴロしています。

ここは、古代の「和邇の燈籠址」と言い伝えられています。この辺りまで和邇の船が入っていたといいます。灯台だったのだそうです。「隣に "和邇の館" もあったそうな」という人もいます。現在では、海岸から8kmも離れています。


セミが沢山とれるのと、楠木の枝を使ったブランコがあったので子供たちの遊び場でもありました。ただ、ここの石を動かすと祟られると子供たちは教えられます。



和邇ケ崎から200m程西に、「舵を掛けていた」という「掛津」という小字があります。また、和邇ケ崎の南400mに「浪内」という小字があります。


鞍手町内には、ここは古代の「津」だったとか、「灯台」だったとか言い伝えられている場所がいくつもあります。



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# by furutsuki_oto | 2016-02-14 23:21 | 鞍手・宗像

星読みの暦

星読の暦

「ひもろぎ逍遥」で紹介された鞍手の「星読みの民」、
ここでは単に「星読」と呼ぶことにする。

「星読」は、「地に刻まれた時計盤」を使って、その日に真東
から昇る星や 東方最大離角にある金星から正確な時刻を読み
取る技をもっていた。

「星読」は、五芒星をタイリングしたドラゴンカーブを使って
精密観測を行っていた。

今日は、そこから推定される「星読の暦」について考えてみよう。


しかし、その前に太白の暦をざっと理解しておく必要がある。

太白の動きを知る人たちは、太白が天に留まる5つのポイントが
あって、その星座で季節が知れること、これを地上に写した
五芒星を描くことで星から時刻が知れることを知っていた。

彼らは地上に刻んだ五芒星を使って、見えている天(黄道)を
天頂基準の10の区分に分けた。

天には、見えている天(つまり「陽」)と見えていない天
(つまり「陰」)がある。従って、一日は、五芒星を使って
20の刻(とき)に分けられた。

1刻を表す20分画のひと目盛りは、360°÷ 20 = 18°である。
この1刻で星は18°動く。シリウスと三ツ星の経度に相当する。

太白が宿る5つの宮は、五惑星に結び付けて色が充てられた。

ここで、五惑星は すなわち、土星、木星、火星、金星、水星
である。(ここでは、地上から見える最大角速度が遅い順に
ならべた。五行の並びとは違うので注意)

これに対応する五色は、蒼(青)、黄、朱(赤)、白、玄(黒)である。
まんま星の色である(水星が黒なのは、日面通過のとき最もその
存在を示すから)。

太白の暦は、一日を 20の刻に分け、ひとつの五芒星でその刻を
よみとった。20を数詞で表すのも象形で表すのも大変なので、
五色と四獣だったかもしれない。十刻と陰陽だったのかもしれない。
いずれにせよ、一日を20の刻に分けた。


太白の暦の利点は、空がせまい谷でも利用できることである。
ただ、黄道を見ていた点において、大雑把な時間把握だったと
思われる。


さてようやく「星読の暦」の説明に入る準備ができた。

まず、「星読」は黄道と赤道の区別がついており、正確な時間を
測るためには、赤道上の星を使うべきであることを知っていた。

また、五芒星をタイリングしたドラゴンカーブで、精密観測を
行っていた。

鷹ノ口おだ山のドラゴンカーブは、4.5°刻みの目盛りを刻んで
いた。これは、赤道を80分割する目盛りである。

80分割には陰陽と八方位そして五色の考え方を使ったと思われる。
4.5°の目盛りからは、45°ずつの方位も出てくるのである。

彼らは恐らく見えている南天を東の空と西の空に分けて考え、
それを五芒星に内在する角度から出てくる五色で更に5分割して、
一日を20の刻に分けた。20の刻は太白暦の継承でもある。

鷹ノ口おだ山のドラゴンカーブは、これを更に四分割する4.5目盛り
を与えてくれる。そして読み取りに際し、さらに6分割することで
時間分解能3分の時計を実現していた。

「星読」は、赤道上を動く星を精密観測していたのだ。

彼らはまた、シリウスや8年で5回の東方最大離角をとる金星を
精密観測し、一年が 365.25日 であることを知っていた。

知っていたうえで、周辺の首長たちの召集には太陰暦を用いた。
すなわち、月が無い朔が「ついたち」、三日月が「三日」、
十五夜が十五日という月の形を見れば何日かわかるという方法だ。
星読みは、朔日に首長たちを召集し、うるう月や種まきの旬を
告知した。


鷹ノ口おだ山から見える帆柱山・金剛山・福智山との角度から
判ることだが、彼らは、19年毎のスーパームーンを観測していた。

何のためか。一朔望月は 29.530589日なので、月の満ち欠けだけ
で日にちを決めるやり方だけを押し通すと季節とのズレが激しく
なる。そこで19年に7回の閏月を入れる太陰太陽暦に改良した。

19年に7回閏月入れると、19×12+7で235朔望月である。
これなら19年が6939.688日となる。19太陽年の6936.280日と
極めて近い。
このやり方は、ギリシャでは紀元前433年には知られていた。

「星読」は、現代にも通じる正確な時刻を知る術と太白の動き
から精密化した太陽太陰暦をもっていた。

以上が、星読の暦について、彼らの観測装置から推定したこと
である。


次回は、月の位置から時刻を読み取る方法を編み出した
「月守の暦」を予定しています。


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# by furutsuki_oto | 2016-02-07 12:03 | 大地に刻まれた時計

太白昼見

太白昼見

全天で太陽・月に次ぐ明るさの金星は、昼間でさえ見えることがある。

金星が昼間見えることの記事は、上代から近世まて「太白昼見」または
「太白経天」として数多く記録されてきた。「乱」の予兆と考えられた
ためである。

金星は軌道が地球よりも内側にある内惑星であるため、太陽から48°以上
離れることはなく、離角が約40°のとき、-4.4等まで明るくなって最大
光度となる。これは一等星であるスピカよりも100倍も明るい。

特に東方最大離角の頃の昼間になっても最後まで消えない金星を、陰陽師たちは、最後まで日(太陽)に服属せずに挑戦する星とみていた。

豊葦原中国の国譲りの際に最後まで抵抗したのは、天津甕星
(あまつ みか ぼし)別名 天香香背男(あまのかかせお)
ただひとり。
日本書記において金星に例えられたこの神は、服従させるべき神、
すなわち「まつろわぬ神」として描かれている。


ところで、古月は、昼間に本当に金星が見えるか自分で試したことがある。暇な高校生のときだった。

夏休みに金星が東方最大離角になった折、芦屋海岸で友人と天体観測を
敢行した。夜通しメシエ天体などを見て過ごし、明けの明星をみてから
そのまま金星が何時まで見えるか浜に寝っ転がってみていた。

夏の抜けるような蒼空に金星が白くポツンとみえた。
眼をそらすとまた見つけるのが大変なので、アナログ時計の文字盤で
太陽との角度を憶えておき、10分おきくらいに確認した。

結果、10時40分までは確実に見えていた。そのあと入道雲がかかり
継続を断念した。当初の予想以上にずっと見えていた。


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# by furutsuki_oto | 2016-02-06 16:38 | 星読の系譜
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古月 乙彦 のブログ  神社とか星とか 古代のロマン.    Since 2016.1.22


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